フクシマ


東日本大震災から5年が経とうとしております。2011年3月11日、日本の太平洋三陸沖を震源として発生した東日本大震災は、東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害をもたらしました。福島第1原子力発電所の事故に世界中が震撼し、日本が世界のニュースの中心になりました。

あれから5年を迎えようとしております。「時間が悲しみを忘れさせてくれる」、という言葉がありますが、時が経つにつれて震災のニュースはマスコミから消えていきました。悲しみが癒えるというより、3.11そのものが忘れ去られているように思います。

フクシマについて考えるためには、マスコミの親玉に注目する必要があります。それは電力会社であり、政府です。


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伝えられない理由


電力会社も政府も、さまざまな理由からフクシマについて語ることが出来ない。その最大の理由はおそらく、事故から5年経った今でも、放射能の拡散を止めることが出来ていないことでしょう。地下水も、川も、そしてそれらが流れ出る周辺の海も汚染されています。

「現状はこういう状態ですよ」と、電力会社も政府も包み隠さず言うわけがない。言ったら、企業の責任も厳しく問われます。政府も「無能」とのレッテルを貼られるでしょう。市民運動も起こります。周辺各国も大激怒するでしょう。

放射能の拡散を止めるため、莫大なお金も注ぎ込んでいます。汚染水については、周辺の土壌を凍らせる、という案がありましたが、そこでも莫大なお金が費やされているはずです。しかし成功したとのニュースは聞こえてきません。おそらく失敗したのでしょう。そのことも国民に知らされていません。


西論文


2013年にフーヴァー研究所から出された論文「Fukushima Three Years Later」は、今でも世界中で大きな反響を呼んでいます。なぜか。福島で今、起きていることを包み隠さずに書いたからです。この論文は2年前に書きましたが、今でも現状は変わっていません。

廃炉のための調査として、ロボットが度々、建屋内に送り込まれていますが、全て返り討ちです。廃炉作業が進展しているなど、とんでもない。未だに、建屋の中がどうなっているのか分からない状態です。

問題になっている放射能は、2年や3年で消える話のものではありません。影響がなくなるまでには、何千、何億年とかかります。そんな中で日本政府は原発の再稼働を叫び、日本の原発を諸外国へ輸出しようとしています。「復興に向けて着実に進んでいる」、「我々は福島から大切な教訓を得た」などの言葉が聞こえてきています。しかし、そもそもの復興とは、教訓とは、何を意味するのでしょうか。情報の隠蔽もはなはだしい。現状がきちんと知らされていない中で次なる原発政策を推し進めているのが現状です。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年3月上旬号「忘れ去られた福島」-1