blog216.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

「プロ」と「アマチュア」の違いは何か?
そもそも、「アマチュアリズム」という言葉は、いつから日本で使われはじめたのか?

それは、明治に入ってから。明治日本は、欧米列強の知識を貪欲に取り入れた。
啓蒙思想家・西周(にし あまね・1829〜1897)は、『百一新論』で「哲学」や「芸術」や「定義」などの西洋の言葉を大量に紹介した。

この知識の大波に乗って、アマチュアリズムは、大英帝国イギリスから明治日本に入ってきた。

スポーツと金儲け


アマチュアリズムは、いまでも日本のスポーツ教育の根底にある。スポーツで金儲けをすることが「悪」という風潮が根強い。

一昔前まで、プロ選手がオリンピックに出場することが憚れていた。

お金の為、営利目的ではなく、純粋にスポーツに打ち込むべきであると。

日本で花開いたアマチュアリズムの精神は、本家のイギリスでどのように誕生したのか。なぜ、「アマチュアリズム」の考え方が生まれたのか?

階級とスポーツ


アマチュアリズムの発祥地イギリスは、階級社会。上流階級は、余暇としてスポーツを愉しんでいた。

当時のイギリスでは、スポーツ競技の種類を区別できた。ラグビーは上流階級、サッカーは労働者階級というように。そんな折、サッカー選手たちがプロリーグを結成。彼らは金銭的報酬を得た。これを見た貴族たちは、プロスポーツを軽蔑する。

上流階級の貴族たちは、スポーツの世界に上下関係を創り出す。それが「クラブ制」である。テニスやゴルフは「クラブ制」をとり、会員になるために審査を実施し、閉鎖的な組織となっていく。労働者階級は、クラブに入ることが許されない。スポーツで報酬を得るのは恥ずべき行為だとし、プロスポーツは「邪道」という時代精神を創った。

明治日本は、英国の階級制度とスポーツの背景を深く理解せず、アマチュアリズムという言葉の表面だけを吸収してしまったのだ。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・鈴木透『スポーツ国家アメリカ』(中公新書、2018年)