優生学


大富豪からの莫大な援助を受けた研究所では、優生学がどんどんと研究されていきます。そこでは、良い遺伝子を持っていない人々、すなわち優生ではない人々は、黒人、ユダヤ人、アラブ人、スラブ人、アジア人、さらにはネイティブ・アメリカン、ジプシーなどとされました。彼らのほとんどは白人以外の人々で、全て「劣性」との烙印が押されました。

劣性同士や、劣性と優生からは、優生は生まれない。それゆえ最初にできる政策は、劣性を隔離することでした。ナチスドイツは、彼らを収容所に入れ、最終的にはガス室に送り抹殺するということを行いました。

アメリカでも、信じられないような政策がまかり通ります。当時、アメリカ合衆国を形成する半分ほどの州にて、劣性人種に対する強制避妊手術を行うという法案が通りました。分かっているだけでも6万人が対象になったようです。カリフォルニアでは3万人が強制的な避妊手術を受けました。黒人同士の結婚にはもちろん許可証は出ませんでした。


白人の特権


当時、白人たちは自分たちの特権を守るために必死になっていました。なぜか。ヨーロッパからの移民です。移民として、好ましくない人種たちがワサっとやってきたのです。しかも家族連れで、汚い。そうこうしていると、清国からも多くの中国人たちがやってきました。その後には日本人も続きます。

白人たちから見ると、移民たちは「汚い」、「貧しい」そして「教育を受けてない」。こんな奴らが、白人の美しい国に入ってくること、そして白人の女性と交わることなど、絶対許すことはできない。なんとかして白人の国を守らなければならない。そんな思いだったと思います。

白人たちの要望に応えたのが、優生学という、人種差別を正当化した最悪の学問です。この学問をかざして、アメリカでは白人以外の人種に対する迫害が続きました。現在でも、その流れは完全には途絶えていません。


『我が闘争』


優生学の研究が進むアメリカをヨーロッパからじっくりと観察していた男がいました。彼の名はアドルフ・ヒトラー。国内でのクーデターに失敗し、監獄に入れられていました。そのとき、彼の部下であるヘスが、ヒトラーの言葉を原稿に起こしたのが世にも有名な『我が闘争』です。

この中でヒトラーは、アメリカの優生学に対して、深く尊敬の念を持っておりますと述べております。そして、優生学上、もっとも優れた人種を白人で金髪、そして青い目をしたアーリア人とし、他の人種を序列化しました。これが後に、ドイツ国内におけるユダヤ人の排斥、撲滅につながっていくことになります。


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西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年6月上旬号「人口爆発」-10