ガリオア資金


占領時代の日本は貧困にあえいでいました。日本の学校給食を支えたのはキリスト教団体からの援助やガリオア資金と呼ばれる、アメリカからの資金援助です。ガリオアとは社会不安と病気を防止するための救済資金です。私たちはアメリカの財政的支援や物資的援助がないと生きていけない状況でした。この援助がなかったら、多くの人たちが栄養失調になっていたのではないか。

アメリカのキリスト教団は、日本をキリスト教化しようと考えていました。すなわち、仏教徒や神道が崩壊して、マッカーサーに言わせれば「おまえたちの精神文化が悪いから戦争をやって、負けたのだ。正義はキリスト教だ」といった世界でしょう。マッカーサーはキリスト教の宣教師をたくさん呼びます。お金持ちのアメリカから見ると、日本は貧しく、何もないですから、教会の人たちが集まって日本に寄付をする訳です。


借金


しかし占領が終わる頃、状況が一変します。日本が経済的に立ち直り始めると、アメリカは「ガリオア資金はタダではないのだぞ」と言い始めました。当時の吉田首相も、これは「タダだ」「もらった」と思っていました。しかし、「あれは貸付だ、おまえたちは借金をしているのだ。いつから払えるのだ」と言われてしまった。

日本は不平不満をタラタラ言いますが、通るはずもありません。「借金だから払え」と脅され、結局払うことになりました。ただ、多くの国民はそんなことをほとんど知らず、アメリカからの食糧支援に感謝していました。学校では、「アメリカ進駐軍のおかげで私たちには給食があります。皆さん、感謝しましょう」と言って、毎日給食を頂きました。


パン食


給食の献立を思い出して下さい。月曜日がご飯、火曜日がパン、水曜日が麺類、木曜日がパン、金曜日がご飯、といったパターンです。給食だからといって全てご飯ではないわけです。占領期から十数年を過ごしてきた日本人であれば、パンがいかに高級なものか覚えていると思います。だから給食でご飯ではなく、パンが出てきた時、皆さん喜びました。パンに憧れを頂いていたからです。

しかしよくよく考えてみると、パンは日本を負かしたアメリカが食べている食べ物です。パンにバターをつけて、その上にジャムをつける。それは、みそ汁と麦飯なぞ、相手にしないほどの力がありました。私たちはこのパンに洗脳されていったと言えるのではないか。

この傾向は知らず知らずのうちに続いており、日本の伝統的な食文化を侵食し続けています。学生たちに「今日の朝、何食べた」と聞いて、「ご飯と味噌汁」と答える人は、私の経験上、限りなく少ない。それが今の日本の現状です。


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西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年9月下旬号「アメリカの食文化支配」-5